粉瘤・しこり・できもの

粉瘤

　皮膚の一部が袋状に変化して内部に垢や皮脂を貯めこんだもので、時間とともに徐々に大きくなります。
アテローム、表皮嚢腫と呼ばれることもあり、外毛根鞘腫、多発性毛包嚢腫などもその仲間です。

症状

粉瘤には「炎症を起こしていない状態」と「炎症を起こしている状態」の2段階があります。

1.炎症を起こしていない状態

　身体のどこにでも発症しますが、特に顔、首、背中、耳のうしろなどにできやすい傾向があります。

　やや盛り上がった数mmから数cmの半球状のしこり（腫瘍）で、しばしば中央に黒点状の開口部があり、強く圧迫すると、そこから臭くてドロドロした粥状の物質が出てくることがあります。

2.炎症を起こしている状態

　元々あったしこりが急に赤く腫れて大きくなり、膿が貯留するため触ると痛くなってきます。あまりにひどくなると破裂して膿がでることもあります。

　なんらかの外的刺激で、皮膚の中で袋状構造物が壊れてしまい、皮膚の内部に排出された角質や皮脂などに対して異物反応が起き、膿が出ると言われています。

原因

　なぜ袋状構造物ができるのかについては未だはっきりわかっていません。

治療方法

炎症を起こしている場合

　炎症を起こしている状態で「袋をとってほしい」と受診されることが方多いですが、残念ながら袋が破裂及び断片化しているためすぐに取りきることはできません。

　軽症の場合副腎皮質ステロイドの嚢腫内注射が行われることがありますが、強い痛みや腫れがあるときや表面がブヨブヨしている場合は、抗生物質の内服もあまり効果がないため、早急に表面を切開して膿を出したほうが良いでしょう。

1.切開排膿

　痛みがつらい場合、受診の当日に切開排膿を行います。注射による麻酔を行った上で、膿がたまっている部分を数mm切開し、膿を絞り出し洗浄します。切開した当日は入浴できず、炎症の程度にもよりますが、約１～２週間自宅でのガーゼ処置が必要になります。

　炎症がおさまり、２～３ヶ月後に断片化していた袋が再生した際に、くり抜き法や切除手術を実施して除去します。

炎症を起こしていない場合

　良性腫瘍なので、炎症を伴わず痛みなどの自覚症状がなければ、特に治療を行う必要はありません。

　しかし、外観的に問題になる場合や外的刺激を受けやすく、将来的に炎症や破裂を生じる可能が高いと考えられる場合は、外科的に切除します。

診療の流れ

診察・検査→術前検査・手術日予約→手術→術後再診の流れで治療します。

※手術時間はいずれも15分～30分程度です（腫瘍の大きさによって変動します）。
※当日は入浴、激しい運動、飲酒はできません。翌日からシャワーは可能です。
※１週間は自宅でガーゼ手当てが必要になります。
※傷の経過により通院回数は異なりますが、通常は術後1～2週間で日常生活の制限はなくなります。

1.くりぬき法

　局所麻酔をして、表面の皮膚開口部に数mmほど切開を行い表面の皮膚とともに袋状構造物の一部をくり抜きます。

　くり抜いた後、内容物をもみだしながら袋そのものもできるだけ取り除きます。数mm程度の傷跡で済む手術法です。

2.切除手術

　局所麻酔をして粉瘤部分を切り取って縫合します。
顔や頭皮、四肢体幹の部位によって、キズアトが目立ちにくい切開線、縫合方法を選択します。

その他の皮膚腫瘍

　まず診察を行い、どのような種類の腫瘍かを推測します。（100％確認するには手術後の病理検査が必要です）

　皮膚線維腫、神経線維腫、石灰化上皮腫、血管腫など、腫瘍の種類や大きさ、深さにより手術の計画を立てます。

治療方法

　局所麻酔をして腫瘍部分を切り取って縫合します。
顔や頭皮、四肢体幹の部位によって、キズアトが目立ちにくい切開線、縫合方法を選択します。